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あらすじ
弟の学費を稼ぐために一生懸命働く兄と、期待に応えるため学問に取り組む弟の物語。
裕福ではなかったが、一生懸命生きて幸せな家族だった。
しかし、弟の大学進学のための金がほしく、兄が空き巣に入り強盗殺人の罪を犯してしまい生活は一転する。
稼ぎが急に無くなった他、「犯罪者」と「犯罪者の弟」という事実を背負って生きていく。
弟は「犯罪者の弟」となり、色々なことが上手くいかなくなる。
兄は毎日毎日償うが変えることの出来ない事実に苦しむ。
離れ離れになった兄弟を繋げたのは月に1度届く兄からの手紙。
何年も何年も届き続けた手紙に返事を書かずにいたが、遂に弟は筆を執り自分の決心を伝えることにする。
最後の何ページかでは、心をえぐられる様な強い衝撃を与えられます。
実際、こういうケースもあるのだろうな。と色んなことを考えさせられる一冊です。
映画でご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、本の方が何故か強い衝撃を受けました。
完読後の感想
普通に生きると言う事がこんなにも難しい場合があるのかと思うと、他人事とは思えなくなりました。
時には謝罪をすることですらも人の為にならない時があり、愛する人とも縁を切ることが優しさになり、正義になる場合もある。
やるせない判断に、抱えきれない程胸が痛くなります。
誰の考え方が正しいといったことは、この本の中には出てきません。
立場や状況、時間等全ての状況によって考え方も変わります。
もし自分がこの立場だったらと考えながら読んで頂きたいです。
印象に残る言葉
「差別はね、当然なんだよ」
「この手紙は私から貴方に送る最後の書簡です。」
レビュー10選
- 我がことのように思われる内容で、引き込まれて一気に読めてしまいます。
犯罪者の兄を持つ弟の苦しみが自分にも伝わってくるような内容です。
ただ、最後に彼なりの幸せを掴んだ点が、良かったように思いました。
感動を呼んだ不朽の名作とあり、東野圭吾の作品の中でも評価の高い作品ですが、まさにその通りだと思いました。 - 一言で言えば、非常に重い。表紙とは全く異なる内容、強盗殺人犯である兄を持つ、弟の物語。非常に淡々と描かれており、当然、読みやすいが、しかしながら、やはり重い。
- 東野圭吾については、そんなに詳しく無いですが、この作品も有名だと言う事で読んでみました。私が特に感じたのは第三章です。フィクションとはいえ読んでて胸くそ悪い気持ちにはなりましたが、自分が実際にこの状況に置かれたら、そうだろうなと思います。
後半に出て来る平野社長の言葉も響きました。 - 亀梨くんのドラマ見て、読んでみたくなりました。原作もいいですね。
- 殺人でなくても、犯罪者の家族、特に報道された場合の苦悩は当事者にしかわからないのだろうなと思った。
- 小6娘には、早い・難しいかと思いましたがあらすじからこれがいいと選びました。ほぼイッキ読みしていて面白い!と言っていました。全てを理解しているとは思えませんが、数年後もう1度読むのも良いかと思います。
- 罪を犯すということはどういうことなのか。犯罪者家族の苦悩を掘り下げた本書は、今までとは別の視点で罪を犯すことの意味を深く考えさせられる作品でした。
- 「差別はあってはならない。だが決してなくならない」という言葉には、考えさせられます。
東野圭吾の作品は沢山読みましたが、新境地を開いた作品だと思います。
差別をする芽は誰の心の中にも有ると思います。男女問わず、若い人にも年配の人にも読んで欲しい作品です。 - 自分の人生をも変えてくれた一冊です。お守りとして繰り返し愛読しています。
- 「差別はね、当然なんだよ」この言葉にハっとした。
主人公は強盗殺人者の弟で、もし自分の子供と同じクラスに殺人者の子供がいたら親としてどうするだろう?
知られることで「差別」を受ける度合いが違うのかもしれないが、そういった「秘密」を持っているのではないか。
誰を憎むべきなのか。どうするべきなのか。
綺麗には片付けることのできない問題を考えさせられる作品でした。
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朝井リョウ 発注いただきました!(作家の想像力は無限で大変で壮大だ!)集英社文庫
いやいや、朝井リョウさんの発注いただきました!」を読むと、作家という職業で生きている方の想像力や対応力、調査能力に完全脱帽しました。
当たり前ですが、好き放題書いているわけではないのですね。
この本は合計467ページありますが、21個のお話しがあるので、少しづつ読むことが可能です。
電車での移動中に1話づつ読むことも可能な一冊です。