「何者」 著者:朝井リョウ(新潮文庫)レビュー 直木賞受賞作

あらすじ

直木賞受賞作『何者』は、内定を得るために一生懸命エントリーシートを作成したり、いかに自分がこの起業に適しているかを演じて面接をしても評価されず、内定を貰えない就職活動学生たちが過ごす時間の中で、自身や仲間や社会に対して心の中で葛藤するストーリー。
ある時、仲間の1人が内定を貰ったことをきっかけに、喜びや嫉妬、不安等の様々な感情が入交り、仲間の関係に変化が起こる。
果たして自分は「何者なのか?」と自問自答する若者の姿を書いた作品です。

なりふり構わずコネクションを作ろうとする同僚や、就活なんて興味無いと言っていた同僚が面接に行っている姿を見ると、「自分だけ置いて行かれるのではないか」と言う不安から、裏アカウントのTwitterで愚痴ったり、就職活動をする人を軽蔑してみたり、どこか頑張り切れない自分がもどかしかったり。
就職活動を行った経験がある人の多くが経験する気持ちが非常にリアルに書かれています。

📝著者の朝井リョウは、この本を執筆した時は、既に作家として名を挙げていたものの、他の大学生と同じ様に就職活動を行い、社会人1年目の2012年にこの作品を書いたそうです。
そのためか、若者の苦悩や雰囲気が手に取るようにリアルに書かれています。

この『何者』は2016年に佐藤健主演で映画化されています。

映画「何者」予告編

キャスト】
二宮拓人 – 佐藤健 / 二宮拓人 – 佐藤健 / 田名部瑞月 – 有村架純 / 小早川理香 – 二階堂ふみ / 神谷光太郎 – 菅田将暉 / 宮本隆良 – 岡田将生 / サワ先輩 – 山田孝之

ジャンル

多くの人が人生で経験する青春ストーリー。

大人になってもしっかり考えておきたい事柄です。
過去に内定を貰い、今現在働いている大人だって、その選択が正しかったのかは未だにわかりません。

完読後の感想

自身の就職活動時を思い返すと、何となく、永遠に仲間とバカをやって生きていけると思っていた日が、ある日突然、仲間のリクルートスーツ姿1つで「人生は楽ではない」と現実に変わった瞬間を思い出しました。

やりたいことなんて何も無く、面接官の「何故当社を選んだのですか?」の問いが一番難しかった。
本音は「給料が良いから」「潰れなさそうだから」「オフィスがカッコいいから」「有名だから」そんな事しかなかった。
それなのに、隣に座った同じ年の受験生はスラスラと模範解答を答え始める。
50社以上も落ちて、こんなにも生きていくのがツラいのかと思いました。

面接や企業説明会に行くための交通費も、バイトで稼いだ貯金では足りなくなり、きっと落ちるであろう企業に面接を行く為にお金をくれる母親の少し自分に期待している嬉しそうな顔を見ながら貰うお金は胸が痛かった。

未だに就職したことが良いことかどうかわからない。
学生に「就職するべきですか?」と聞かれたら未だに明確にどちらが良いか答えられないだろう。

ただ、リアルな人生、就職活動を通して様々な感情の戦いが自分の中に起こる。
きっとこの葛藤は人生において重要な事だと思う。

過去の「わからない」を解決せずそのままにして生きてきた自分に、再度問題を問いかけられた気がしました。

心に響いた一言

”たぶん落ちた。
だけど、落ちても、たぶん、大丈夫だ。
不思議と、そう思えた。”

これから読む方へ

これから読む方は、既に就職活動を終えている方が多いかもしれません。

このストーリーを読みながら、もう一度あの時の自分を生きている気がします。
せっかくなので、もう1度、一生懸命悩社会のレールに乗ることを恐れたり、悩んだりんだりしてみませんか?

羨ましい程悩んで、羨ましい程努力することは、何歳からだって出来るハズ。

今からだって、何歳だって何でも出来る。

ボリューム

全336ページ。
小説の中に登場人物のTwitterがあるなど、今時な文章校正であり、SNSを使用している若年層には隙間時間にSNSに書き込む光景が情景として浮かんでくるような内容で、集中していなくても1週間~10日で無理なく読めるボリュームです。

レビュー10選

  1. 就活を思い出して、あぁそういえばこういうことあったなって感じました。 どうしても疑心暗鬼になってしまう、あのデリケートな時期。 一度社会に出てみれば、そこまで深く思い悩まなくても、会社も職場も山ほどあるのに、内定もらえるなんて、その中の一つに過ぎないのに。。。 と感じます。
  2. 主人公目線で高みの見物をしていたら、最後はえらい目にあいます。でも、こんな書き方の物語は初めてだったので本当に心に響きました
  3. 朝井リョウ氏の直木賞受賞作品です。有村架純氏主演の映画にもなったので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。本書は、就職を控えた6人の若者たちが、自分たちは一体どのような人間なのかを、就活を通して考えていくというストーリーです。文体も若者の口語体で書かれ、今どきの若者の気持や感情がよく理解できます。ただ、私のようなシニアにはちょっと文体がくずれているかな~という印象をもちましたが、内容は素晴らしいものです!
  4. かなり昔ではありますが、就活した時のことを思い出しました。 私の時代は超氷河期とよばれた年代だったので、就職浪人や専門・院への進学者が私の周りに半分くらいいました。 年代は変われど、就活は、勉強の成績や偏差値では測れない、企業・社会からの烙印なのかもしれません。そういった意味では、就活の根底にあるものは、今も昔も変わらないのかもしれません。
  5. 文章に挟まれるtwitterの投稿内容がリアルでした。 ずっと主人公に感情移入して読み進めて、ラストの展開で主人公と一緒に私も変われたような気がします。 前半単調に感じる人もいるかもしれませんが、ぜひ最後まで読んでみてください!
  6. 就活のエントリー開始と共にSNSを始めた私にドンピシャな一冊でした、もしや運命? SNSを始めた動機が、就活の実行中継をするためだったのでリカちゃんが他人事じゃなかったです。不安で足元ぐらぐらなのを必死で抑えようとしてました。思い返せば痛いツイートも沢山してました、消してしまいましたが。あの時の私を主人公の様に意地悪く見ていた人もいたでしょうね。
  7. 就活を通して見え隠れする若者たちの本音。就活にSNSと読んでいるとはっとさせられる場面が何度もありました。この本を読んで自分の考え方を見つめ直すいいきっかけになりました。とても読みやすいです。
  8. 自分の就職活動を振り返ってみると、確かにこういう時にはダメだったな~とか。ず~っと、昔の話のように読んでいたのですが、最後のあたりで気づきました。「そういう自分は、”いま”は何者?」 社会人の方も楽しめますよ。自分を見つめるきっかけを与えてくれた一冊でした。
  9. みごとにやられました。自分のことかもしれません。
  10. 感情移入して読んでいて、主人公同様に他の登場人物を否定的に見ていたら、後半で一気にやられてしまいました。
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