朝井リョウ 発注いただきました!(作家の想像力は無限で大変で壮大だ!)集英社文庫

この本を読むまでは、作家さんがどの様に生計を立てているのか等、全く考えたこともなかったのですが、いやいや、朝井リョウさんの「発注いただきました!」を読むと、作家という職業で生きている方の想像力や対応力、調査能力に完全脱帽しました。

あなたの想像力を蘇らせてくれる可能性のある本だと思いました。

当たり前ですが、好き放題書いているわけではないのですね。
この本は合計467ページありますが、21個のお話しがあるので、少しづつ読むことが可能です。
電車での移動中に1話づつ読むことも可能な一冊です。

朝井リョウさんへの発注内容 3つの例

No発注元お題発注内容
1森永製菓キャラメルが登場する掌編・人間を主人公とした、キャラメルが登場する小説
・森永ミルクキャラメルのイメージである「懐かしい」「親しみがある」「ほっと一息できる」「幸せな気分になる」といった世界観を主軸として、読後に「いいよね、キャラメル」と思えるような心温めるストーリー。
・文字数は、247文字×3話分。三箱揃えれば一つの物語がたのしめるという仕組み
KADOKAWAaikoの楽曲を題材にした小説・「別冊カドカワ 総力特集 aiko」号に掲載する、aikoの楽曲を題材とした短編小説
・先方(企画書内には、aikoさん本人から、の記載あり)からのリクエストは、「ちょっとエロくて変態要素のある、湿度を感じる作品」。
・分量は、原稿用紙10~25枚程度。
JRA競馬がより面白く見られるような掌編「馬のような人の物語」・過去のレースから導かれたテーマを、人間ドラマに置き換えた物語の執筆。
・担当は「世界との戦い」。モチーフは、世界最高峰のレースである凱旋門賞を制したモンジューにジャパンカップでしょうりしたスペシャルウィーク。
・モチーフは、バックストーリーやバックグラウンドに置くだけでOK。読んだ人にテーマのつながりを感じて頂くというのが狙い。
・文字数は1,000~1,200文字程度。

あらすじ

上記に挙げた3つの様な発注内容に対して、朝井リョウが執筆した短編小説が書かれています。
なんでもありかよ!?と突っ込みたくなるようなリクエストもありますが、それでも文字数まで守りにながらストーリーを書き上げ、その後、ご本人(朝井リョウ)の感想も書いてあります。

思えば、執筆は後に残る物なので、後から読み返すと反省点があったり、執筆中や執筆後に「こんなことやあんな事を考えていた。」等のことが書かれていたり、ストーリーの初めから終わりまで感じることの出来る内容で、まさに発注を頂いた!所からストーリーを楽しめます。

あなただったらどんなストーリーを書きますか?

印象に残ったストーリー

No発注元お題発注内容
集英社十周年記念本を成立させるための”受賞”をテーマにした新作・デビュー十周年記念本「発注頂きました!」がただの寄せ集めの本と成り果てる未来を回避するための新作短編。
・小説すばる新人賞がデビューのきっかけだったことに〇みて、テーマは「受賞」。
・分量は原稿用紙90枚程度。

あらすじ】
夫婦と若いアシスタントの3人で経営している町工場。
妻大ファン越しでいつも応援していた「書道界の天女様(男性)」が国民栄誉賞を貰うことになった。
そんな時に一本の電話が鳴り、なんと書道界の天女様向けに国民栄誉賞の記念品を作ることとなった。

しかし、夫越しにも、どうにも天女様の謙虚なしぐさが浅いパフォーマンスにしか見えず、心のどこかでどこまで信用出来るものかわからず少し気に食わない。
そんな中、睡眠を削りながら何度も何度も記念品の試作品を作る妻。
作り終わった後は体調をも壊してしまう。

ベッドに横たわったまま授賞式をネット中継で見る妻。
自分の全身全霊をかけて制作した記念品を受け取る時に、まさかの展開が・・・

皆様の人生でも感じたことがあるけれど、言葉では上手く表現できないので誰にも言わずに時間と共に溶けてなくなる思いを、感情が手に取るようにわかるように書かれています。
是非とも皆様に読んで頂きたいストーリーです。

これから読む方へ

作家は、ねづっちの様に、どんな物でも整うことが出来るのか!?
と思わせるほど、どんなリクエストにも素敵なストーリーを納品していることがわかります。

競馬からのリクエストと思えば、aikoの楽曲に合わせたストーリーと依頼、そしてビール会社からの依頼。

あなただったらどんなストーリーを思いつきますか?
自分だったらと思いながら読んでみるのも楽しみ方の1つかもしれません。

想像力は無限だ!!

レビュー5選

  1. 短編で身近なテーマが多いので気軽に読めます。著者の執筆裏話も興味深いです。中1の娘が一番気に入って読んでます。
  2. 世の中には、このような形で小説を発注してくる企業があるんですね。
    別に作家ではないのですが、勉強になりました。
    何よりそれに答える朝井さん。同じような物語がニ三個あってもいいのに、全部違うのですからこれまた凄い。
  3. こんな単行本化のアイデアがあるのか!という1冊です。
    そもそも企業タイアップという広告用の小説があることすら知りませんでした。
    本書では広告小説を単に収録しているだけでなく、「こんな小説にしてほしい」という企業から著者への注文内容や書き終えた後の著者の自画自賛を含む感想も付いていて、広告小説の裏話も楽しめます。
  4. 短い文章制限の中で発注企業の条件を満たさせばならず、「ちょっと無理やりかな~」という作品もあります。
  5. アイディアと調査の賜物。
    作家の凄さを体感しました!

蛇にピアス 著者:金原ひとみ (第27回すばる文学賞 第130回芥川龍之介賞) 映画化 主演 吉高由里子
「ねぇ、スプリット・タンて知ってる?」から始まる主人公の人生。 何となくの毎日を過ごし渋谷をふらつく主人公の19歳のルイ。 そんなある日、クラブで眉と唇にピアス、背中に龍の刺青に加え、舌が蛇の様に二手に分かれていた「スプリット・タン」を持つアマと名乗る男に声をかけられる。 そんな舌に興味を持ったルイも舌にピアスを開ける。その時感じた痛みに恍惚を感じるルイはその痛さに生きている実感を得てハマっていく。 ルイとアマは痛みによってお互いの慰めと生きる実感に頼りながら社会の物陰で生きていく。 社会の歪みで痛みに頼って生きる繊細な心を持つ登場人物達のストーリー。

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